2009年02月05日(木)
小仏峠の名犬(迷犬?)ラッキー ~1~

こんにちは、ワンです。今回は、街道調査で出会った、わんこのお話です。
街道調査隊の五式さんと一緒に甲州街道の難所のひとつ『小仏峠』を、
「果たして冬のこの厳しい時期に越えられるのか?」
ということで、歩きで実踏調査することになったのですが…。
2月4日 - 午前11時 -
五式 「ラッキー、いい子だから…、もうお家に戻りなさい。」
ワン 「ほら!ラッキー、そっちは線路で危ないから!こっちにおいで!」
五式 「うーん、どうして僕たち、犬を連れて調査してるんですかね?」
ワン 「僕が知りたいくらいですよ…。」
話は3時間半前にさかのぼります。
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午前7時30分ごろ

ワン 「少し肌寒いですね…」
天気は曇り。標高が平地より少し高いせいもあって、気温はことのほか低かったんじゃないかと思います。
五式 「防寒をしてきて良かったです。」
五式さんはいかにも暖かそうなダウンジャケットに身を包み、万全の体制です。
ワン 「では、まずは小仏峠の入り口目指して出発しましょうか。」
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午前8時少し前

その時、1つのお宅の前に、足と尻尾の短い、愛らしい一匹の犬が、ゴロゴロと背中を地面にこすりつけているのが見えました。
五式 「なんだか、かわいらしいですねー。」
ワン 「そうですねー、しかし、こんなところに犬がいるなんてねー。」
…と、直後、その犬がこちらに気付いた様子で、
「ハァハァ」言いながら駆け寄ってきました。
よく見ると、首輪をしています。
ワン 「お前飼い犬かー。この辺はめったに車がこないと思うけど、あんまり下まで行くと危ないから気をつけろよー。」
などと、通じるわけでもないのに、そう諭すと、
私たちは先を急ぎました。

そう、わんこがついてきていたのです。
(ついてきちゃってるけど大丈夫かな?)
という心配を尻目に、わんこは、私たちを追い越すと、
悠然と先頭を切って歩き(走り?)出しました。
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午前8時過ぎ
「いのししのワナがあるので、犬の放し飼いは危ないですよ。」
という主旨の看板がありました。
ここにくるまでに、犬は1匹しか見ていません。

ワン 「…もしかしてお前、みんなに心配されてるんじゃないか?」
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そんな心配をよそに、わんこの先導(?)で、道はいよいよ車両が入れないエリアに。
五式 「道が二手に分かれてますね。」
わんこは左の道の先で待っている。
ワン 「でも、地図的にはどうも右らしいんですよねー。」
ということで、進路を右へ。わんこは…後ろからついてきます。
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道はどんどん険しくなり、今にも朽ちてしまいそうな橋に差し掛かりました。
(本当にこの道で大丈夫かな…)
と思っていると、向かいから壮年の男性が歩いてきます。
(ああ、向こうから人が来たってことは大丈夫だな。)
五式&ワン 「こんにちは」
男性 「ああ、こんにちは」
(男性が目線をわんこに向けたので)
ワン 「何か、ついてきちゃうんですよね…。」
男性 「ああ、たまに散歩にきてるのを見かけるよ。」
五式 「そうなんですか。でしたら、まあ安心ですね。」
安心感を胸に、先を急ぐことに。
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午前9時
五式 「…はぁ…はぁ、それにしても険しすぎませんかね?」
ワン 「…はぁ…はぁ、さすがにおかしい気がしますね…。」
わんこ 「ハッ、ハッ、ハッ。」
ワン 「そんなキラキラした目で見るなよ…。お前は元気そうだな。」
五式 「あ、後ろから、人が上ってきますよ!聞いてみましょうよ。」
その場にしゃがみこんでいると、60代くらいの素敵な女性が4人。しっかりとした足取りで近づいてきました。
五式 「すみませーん、小仏峠はこのまま上がっていけばいいんですか?」
女性団 「いえ、こっちは違いますよ。だいぶ下に分岐があったでしょ?あそこを左にしばらく行ったところです。」
五式&ワン 「…」
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午前10時
ワン 「………やっと戻ってきましたね。」
五式 「…………そうですね。」
ワン 「…わんこが正しかったんですね。」
五式 「…そうみたいですね。」
間違っていると分かりながらもついてきてくれたわんこに、少し感動。
五式 「でも、なんでずっと僕たちの後をついてくるんでしょうね?」
ワン 「そうですよね。すれ違った地元の人にもついていかなかったし…。」
五式 「もしかして、僕たちがこの峠の初心者だって分かってるんじゃないですかね?」
ワン 「いや、若い(?)男に興味があるのかも。きっとメスですよ。」
五式 「どっちもかもしれませんよ。」
…良く見ると後姿が頼もしく、かつしなやかだ。
ワン 「多分、名前は『ローラ』だな。」
五式 「…いやそれは、どうだろう。」
ワン 「ローラ!おいで!」
わんこ 「ハァハァ!」
ワン 「やっぱりだ。そうに違いない。」
五式 「…。」
ということで、わんこ改めローラは、さらに私たちを先導していくことに…。
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午前10時過ぎ

ワン 「いやー、やっと上りきりましたね!」
五式 「そうですね!あとは下るだけですね。」
ワン 「…しかし、ローラはまだ居るけど大丈夫かな。」
と、そこへ、ラジオを片手に持って近寄る60代くらいの男性が。
男性 「おお、ラッキーじゃないか。」
ワン (いや、今のところ慣れない山道を間違えてアンラッキーなんですが…)
男性 「あれ?奥さんは一緒じゃないのかい?」
ワン (…このわんこのことか!ローラじゃなかったのね。)
五式 「それが、勝手に僕らについてきちゃって…。」
男性 「ふむ。でもまぁ、この辺りまでは奥さんが散歩に連れてきてるから大丈夫だと思うよ。」
五式 「それならいいんですが。」
ローラ…いや、ラッキーと出会った場所から、山道で2km近く、時間にして約2時間もの時間を共にして、さすがに心配になっていたので、男性のその言葉に、少し安心しました。
しかし、奥さんもここまで散歩に来るってすごいな…。
~2~へつづく
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