篠栗八十八ヶ所霊場を歩く

2022年01月04日(火) ~2024年03月10日(日)
総歩数:91282歩 総距離:56.2km

2022年01月04日(火)

33番本明院~48番中ノ河内観音堂

                              晴れ
 篠栗八十八ヶ所は天保6年(1835)に四国八十八ヶ所を巡拝した慈忍が、その帰りに篠栗村を訪れ、弘法大師も訪れたことがあると伝わるこの地、篠栗村が困窮している姿を見たことから、その救済を目論んでこの地にとどまり、弘法大師の名において祈願を続けて、やがて村に安寧をもたらしたという。このことを弘法大師のご利益とした慈忍は四国八十八ヶ所を模した霊場の造成を提案し、これに呼応した村人達の手によって徐々に石仏が造られ始めたが、慈忍が没したので中断していた。嘉永7年(1854)に当時字田浦の住人だった藤井藤助翁が再興すべく立ち上がり、多くの信者と協力して、八十八ヶ所の堂宇を建立し、石仏の本尊を安置して完成させたという。
 篠栗八十八ヶ所は「小豆島八十八ヶ所」「知多四国霊場」と共に、「日本三大新四国霊場」に数えられることもあるという。
今回は篠栗町観光協会から頂いた資料と、「篠栗町八十八ヶ所の魅力を発信するホームページです」というサイトを参考にした。

 JR篠栗駅を出てすぐに右へ線路沿いに進んで行き、最初の田中踏切を渡って右折、最初の角を左折、更にその先で右折して進むと、ちょうど10分で「33番札所 本明院」に着く。本尊は薬師如来。ここが打ち始めとなる。四国遍路の場合はお寺が順番に並んでいるのでわかりやすかったのだが、篠栗は札所の番号がバラバラだ。なぜこんなに番号がバラバラなのだろうか?と思って篠栗役場や観光協会に問い合わせをしてみたが、結局よくわからないということだった。
 資料に「歩き遍路さん 参拝順路」というものがあったので、それを参考にし、また参拝の「道しるべ」標識がへんろ道の随所にあったので、それに従って歩いて行った。四国もそうだったが、篠栗も道しるべが頻繁にあって、道に迷うことはほとんどなかった。
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 境内の左手に田中八幡宮がある。
本堂に向かって右手に道しるべがあるので、これに従って細道を進んで行く。
8時40分に「33番札所 本明院」を出発する。
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 多々良川沿いを道しるべに従って進んでいき、8時46分に「21番札所 高田虚空蔵堂」に着く。本尊は虚空菩薩。
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 昭和24年と刻まれた指差し道標を見ながら進み、8時49分に「37番札所 高田阿弥陀堂」に着く。本尊は阿弥陀如来。
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 高架下を通って進むと8時56分に「69番札所 高田観音堂」に着く。本尊は聖観世音菩薩。篠栗八十八ケ所は狭い地域に集中してあるので、札所間の距離が非常に短いのが特徴だ。
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 道端に石仏を安置する小祠がある。このような祠はこの後も数多くあった。
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 道しるべに従って左へ分岐すると、階段の上に「32番札所 高田観音堂」があり、9時3分に着く。本尊は十一面観世音。
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 その先で32番に分岐する前に歩いてきた道の延長線上に合流して進むと、左手に楠の巨木が立っており、そのすぐ先に「4番札所 金出大日堂」がある。本尊は大日如来。9時16分に着く。
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 道しるべに従って進むと、殊林寺がある。この境内の左奥に薬師堂があり、ここが「35番札所 珠林寺薬師堂」だ。本尊は薬師如来。9時21分に着く。
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 細道を道しるべに従って進むと、階段があり、その上に「86番札所 金出観音堂」がある。本尊は十一面観世音。9時26分に着く。ここは札所で一番長い階段(90段)と説明されている。確かに階段を登って般若心経を唱えるとき、息が上がっていた。
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 細道を通って進み、車道に出ると左手に薬師如来堂がある。ここは札所ではないが、沿道にはこのような石仏を祀るお堂が数多く存在している。
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 その先で「神峰寺」の大きな看板が立っているところから左へ分岐し、坂道を登ったところに「27番札所 金出観音堂」がある。本尊は十一面観世音。9時37分に着く。
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 27番を打ち終えて元の道に戻ると、すぐ先右手に「十夜が橋」がある。弘法大師が泊まるところがなくて橋の下で一夜を過ごしたという、四国を歩いた時に見た橋を模しているようだ。ここから右手坂道を登ったところに「87番札所 弘照院」がある。本尊は聖観世音菩薩。9時47分に着く。
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 へんろ道を進んで行くと「針の耳」があり、これをくぐって進む。悪いことをした人は岩の奥に白蛇の姿が見えるという。くぐってみたが何も見えなかったので、悪いことはしていないと証明されたということか?左手の写真は入口から、右手の写真はくぐった後から振り返った写真です。結構窮屈なので、雨の日にくぐるのは厳しいかな?と思った。
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 細い山道を登っていく。車道はヘアピンカーブになっているので、車道を横断、その先の階段を登っていき、もう一度車道を横断して進むが、道しるべがあるのでそれに従って進んでいく。道筋にはJR九州のウォーキングコースという標識も点在している。
「15番札所 妙音寺」に着く。本尊は馬頭観世音菩薩。10時5分に着く。
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 左手に「仏舎利」がある。かなり大きな建物だ。ここからは眼下に眺望が開けている。10時17分に着く。
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すぐ横に「66番札所 観音坂観音堂」がある。本尊は千手観世音。10時21分に着く。
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 道しるべに従って山の中の道を進むが、整備されている道なので迷うことはない。途中で車道に出るが、これを横断して再び山の中の階段を登っていく。
ここにも道しるべが立っているのでこれに従って進む。
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 途中、石仏を安置する祠が左手にあり、その先も林の中の道を進んで行く。
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 へんろ道を抜けて車道に合流して進むと、左手に分岐する道があるので、これを進むと「49番札所 雷音寺」に11時20分に着く。66番から約1時間ほどかかっている。本尊は釈迦如来。
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 「歩き遍路さん 参拝順路」という資料をいただいており、札所間の距離と時間まで細かく記されているので、非常に役に立ったのだが、ここから先でこの資料は36番天王院へ向かうようになっているのだが、道しるべは47番へ向かうようになっている。
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 この時役に立ったのがもう一つの「篠栗四国八十八ケ所巡拝図」という資料だ。この資料は八十八か所全体を一枚の地図にまとめたもので、これを見ると47番、76番を経由して16番へ向かう場合と、先に16番へ向かう場合はどちらも大して変わらないことが分かったので、とりあえず道しるべに従って進むことにする。この地図がなければ、16番と47番の位置関係がわからず、迷ってしまったことだろうと思った。坂を下っていき、車道に出たところを少しだけ右へ行くと右手に「47番札所 萩尾阿弥陀堂」があった。本尊は阿弥陀如来。11時31分に着く。
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 ここから車道を後戻ると、49番から出てきたところの少し先の左手に「76番札所 萩尾薬師堂」があった。本尊は薬師如来。11時35分に着く。
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 このすぐ先から左手にへんろ道があり、道しるべが立っているので、これに従って進んで行く。山の中の道で、視界が開けるとかなり高いところに上ってきていることがわかる。
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 道沿いに右手に「吉祥寺」、その先左手に「延命地蔵尊 東光院」さらにその先左手に「八面三宝大荒神」などがある。
 その先で道は二股に分かれているところがある。巡拝図を見るとここから右へ分岐するようなのだが、こうした分岐点には必ずと言っていいように、道しるべが立っているのだが、ここにはない!どうしようか迷ったが、まちがっていれば引き返せばいいやと思って右へ分岐して進んだが、これは正解だった。進んで行くと、右手に天王院の鐘楼塔が見えてくる。まだ新しい建物のようだ。
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 先に16番に行くことにして、「16番札所 呑山観音寺」に12時17分に着く。本尊は千手千眼観世音で、篠栗霊場開創より以前からこの地に祀られてきたと伝わる石仏という。ここは鉾立山(標高663m)にあって、標高は450mと札所の中で(奥の院を除く)最も高い標高に位置している。呑山観音寺の山号になっているこの鉾立山の由来は、一説には神功皇后が出兵の際、遠く玄界灘を望み、戦勝を祈願して逆鉾を山頂につき立てたという説と、神代の時代、海津見神の娘である玉依姫が、神武天皇の尊父である彦波剣武鵜茅葺不合尊に嫁いだ際に、鎮座する山の高さを見比べるため頂上に鉾をつき立てたためという説があるという。その玉依姫ご一行が目的地の竈門山に向うために山を下る途中、山腹に湧く清水を呑み、渇きをいやしたことから、この場所を「呑山(のみやま)」と名付けたといわれている。
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 16番札所から戻る形で帰ってきて、天王院へ向かい、「36番札所 天王院」には12時28分に着く。本尊は波切不動明王。ここは呑山観音寺の塔頭寺院で本堂は篠栗八十八か所の中で最も規模が大きいという。
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 静かな境内で昼食として持参したパンを食べる。途中食事ができるような店もなく、コンビニも見当たらなかったので、パンを持参してよかった。
帰り道左手に「極楽往生院」があり、3000体を越える水子地蔵が並んでいる。
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 帰りはひたすら坂を下って行く。
 右手に47番札所がある。時間を見ると13時17分だったので、ここから1時間46分かけて往復してきたことになる。
 右手に慈妙法院薬師堂があり、そのすぐ先で車道からへんろ道へ分岐する道しるべが左手に立っているので、これを下って行くのだが、この道しるべはちょっとわかりにくくて、もう少しで見落とすところだった。13時44分にここを通る。
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 ここを下って行くと「五塔の滝」がある。これは五重の塔から水を落としたように、流れが五つの段になっている様から名付けられたという高さ約20mの滝で、この付近一帯は、篠栗耶馬渓とも称される景勝地という。
 この滝のすぐ横に「70番札所 五塔ノ滝」がある。本尊は馬頭観世音。13時50分に着く。
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 左手に十楽山西国寺があり、更に山道を下って行くと、鳴淵ダムが見えてくるところで道は二股に分かれているが、資料を見るとどちらに進んでも札所はなく、ダムの周囲を回っているだけのようなので、より直線に近い右手の道を進む。このダムの貯水量は440万㎥で、福岡ドームの約2.5倍、25mプールで約15000杯分になると説明されているが、そう説明されてもどうもピンと来ない。その先で左手に階段があって、これを下るが、ここに「樹芸の森コース」と書かれた標識がある。JR九州のウォーキングコースの標識はすでになくなっていて、この辺りはこの標識が点在している。
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 階段を下りて車道を右手に行ったところに「44番札所 大宝寺」がある。本尊は十一面観世音。14時28分に着く。
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 ここから後戻る形で先ほど階段を下りてきたところを通り過ぎて進んで行き、高架を渡るが、高架が左へ大きくカーブしているところ右手に高架から下る階段があるので、これを下ると「43番札所 明石寺」がある。本尊は千手観世音。14時39分に着く。
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 JRの高架下手前の左手の坂を上ると「82番札所 鳥越観音堂」がある。本尊は千手観世音。14時44分に着く。
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 山沿いの細道を下って車道に合流、左へ進むと、左手少し入ったところに「11番札所 山手薬師堂」がある。本尊は薬師如来。14時51分に着く。
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 一之瀧川に架かる小橋を渡ったところに「52番札所 山手観音堂」がある。本尊は十一面観世音。14時56分に着く。すぐ隣にある大きな大師像は毛利純堂と名乗る老僧が路傍で喜捨を乞い、喜捨をいただいた十万人の名前を三年かけて毛筆で書き綴って大師像として完成させたものという。
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 一之瀧川に沿って坂道を上っていくと、左へ分岐する道があるので、これを進むと、「25番札所 秀善寺」がある。本尊は一願地蔵菩薩。15時6分に着く。
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 さらに一之瀧川に沿って坂道を上っていくが、沿道には石仏を祀る小祠が数多くある。「40番札所 一ノ滝寺」に15時40分に着く。本尊は薬師如来。本堂の横には一ノ滝がある。
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 また奥には馬頭観音を安置する祠、更に境内には数多くの石仏が祀られている。
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 ここから打ち返して坂を下っていくのだが、途中で左へ分岐する道があり、これを進むと6番札所へ行くことができるようだが、時間も大分押してきているので、順路通りにいくことにする。先ほど打った52番札所を左に見てJRの高架下を左へ進むと左手入ったところに「78番札所 山手阿弥陀堂」がある。本尊は阿弥陀如来。16時6分に着く。
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 ここから少し打ち返して、多々良川に架かる橋を渡って右折、川沿いを進んで行くと左手にかどや旅館があり、そのすぐ先左手に「17番札所 山手薬師堂」がある。本尊は薬師如来。16時17分に着く。
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 その先にある十字路を直進すると、すぐ先左手に20番札所への道しるべがあるのだが、鎖のようなもので入口が遮断されている。山の中の道のようなので、途中で道が崩落していて通ることができないのかな?と思いながら、とにかく行くことができるところまで行ってみようと思って進んでみた、
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 へんろ道は特に問題なく「20番札所 鶴林寺」に着くことができた。本尊は地蔵菩薩。16時31分に着く。
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 ここからは舗装された道があり、これを通っていくと、左手に「48番札所中ノ河内観音堂」がある。本尊は十一面観世音菩薩。16時40分に着く。
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今日はここで歩き終わることにして筑前山手駅へ向かう。

本日の歩行時間   8時間。
本日の歩数&距離 35587歩、22.8km。

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