北海道を歩く

2006年09月17日(日) ~2006年10月16日(月)
総歩数:682610歩 総距離:477km

2006年10月15日(日)

大沼公園民宿山一荘~函館プラザホテル

 朝食を7時に頼んでいたのだがなかなかできてこない。昨夜の夕食も、18時の予定が19時を過ぎてしまっていた。夜は特にすることがないので遅れてもかまわないが、朝はあまり遅くなると、その日の行動予定に影響が出てくるのでちょっとヤキモキする。7時30分近くになった時、ようやくできてきたので急いで食べ、7時50分に出発する。
 外に出ると地面が濡れている。昨夜雨が降ったようだ。今回の旅ではこのように夜の間に雨が降り、,昼間は止むというケースが多く、とても助かった。外は風が強く寒い。この2、3日北海道は冬の到来を感じさせる気候である。旅が終わって一週間ほどで、テレビ等で見る限り北海道は完全に冬になったような気温だった。あの気温では相当に寒いだろうし、冬支度をしていなかったので、あの中を歩くとなると大変だっただろう。寒くなる前に終わらせたいという予定はなんとかぎりぎり間に合ったという感じである。
 昨日から国道5号線をはずれて大沼のほうへ大きく回りこんだ道を歩いた。宿がここしか取れなかったので仕方がないが、5号線を直進する場合と比べて大分大回りである。この道は駒ヶ岳の噴火災害に備えた道路で駒ケ岳災害避難経路と書かれていた。
 やがて国道5号線に合流する地点まで来た。かなりの高度があり、橋が架かっている。この橋から大沼とその向こうにそびえる駒ケ岳を眺めると絶景だった。最高の撮影場所なのだが、今日は昨日とはちがい、あいにくの天候で駒ケ岳の上半分が雲に隠れている。残念だった。
 そこからすぐに大沼トンネルに入る。747mのこのトンネル、一昨日のトンネルと異なり排気がよく、歩道も広くて歩きやすい。新しいトンネルはこうして改善がなされているということが良くわかる。
 トンネルを抜けるとすぐに小さな橋があった。「峠橋」という標識が立っている。歩数わずかに32歩しかない小さな橋なのだが、写真のような標識が立っている。
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 北海道ではどの橋にも全てこうした標識が立っている。この標識にどういう意味があるのだろうかと当初思ったが、これも積雪対策の一つなのだろうか。南国生まれの私にはこちらの冬は想像の範疇を越えたものなのだろう。

 峠を下りると函館まで20kmとなっている。いよいよ旅の終わりももうすぐだ。このあたりから切れ目なく住宅が続くようになる。やがて藤城ICで車道と別れることになり、とたんに車の数が少なくなる。とても歩きやすい。
 この道は両側に赤松が植えられている。「赤松街道」と名づけられており、函館市桔梗町~七飯町峠までの14kmに渡って延々と赤松並木が続く。明治9年、明治天皇がこの地を巡幸されたことを記念して、開拓使がその年と翌年にかけて植えたそうで、1420本もの赤松が並んでいる。「日本の道100選」に選ばれたこの道は、現在ではごく普通の道なのだが、作った当時は他の道と比べて相当に広い道だったのだろうなと思った。
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 函館まで後8kmのところまできて道端で休んでいると、オジサンが「この近所の人か?」と話しかけてきた。北九州から来ていて、北から南まで歩いていると言うと、北九州からここまで歩いてきたと受け取ったようで目を丸くしていた。そうではない旨訂正し、それからしばらく話をする。オジサンも若い頃、今から40年ほど前に、道北で電気工事に携わったことがあったというようなことを言われていたが、なまりが強く何を言っているのかよくわからない。全て理解するのは無理と判断し、わかるところだけで会話をつなぐ。若い人は全く問題ないがお年寄りの言葉はわからない言葉が多い。

 函館まで後6kmという表示をみてもう少しだと思ったが、四国の時、同じ距離まで来たときに感じたあの気持ちの高ぶりはなかった。思い入れの差なのか、疲労度の差なのかわからないが、冷静にもう少しだと思った程度だった。
 ホテルの近くまで来たところで土方歳三の墓が近くにあるということを標識で知る。
 丁度15時に函館プラザホテルに到着。函館駅のすぐ近くにあるこのホテル、なんと素泊まりで2980円!安い!そのかわりかなり古く、掛け布団からは羽毛が飛び出したりしていたが、それにしても安い。

 チェックインを済ませた後、早速土方歳三の墓へ行ってみる。墓はホテルから歩いて10分もかからないところにあり、今でも花が手向けられ、現存している唯一のものといわれている彼の写真が飾られていた。
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 土方歳三に関しては若い頃、司馬遼太郎の「燃えよ剣」を読んで感動したことを今でもはっきりと覚えている。司馬遼太郎描くところの土方歳三ではあるが、とてもすばらしい人物として記憶に残っている。今回旅が終わって改めて「燃えよ剣」を読み直してみた。文庫本の第一版が昭和47年になっているので、その頃に読んだと思われる。まだ私が二十代半ばのころだ。読み直してみて更に記憶が新たになり、新撰組をひたすら強い集団にしたいという彼の思い、行動は私の会社に対するこれまでの思いと似通っているように感じられ、また最後の死に様も見事で、改めて非常な共感を持って受け入れることができた。こうなるとたまたま見つけたお墓ではあるが、何か引き寄せられたような錯覚に陥るから不思議だ。この参拝は今回の旅の中で最大の収穫だった。

 夕食は函館駅の近く、朝市の中にある食堂でホタテウニ丼を食べる。やはりうまい!ほとんどの店はもう閉まっていたので、明日の朝もう一度来てみることにする。函館も以前来たことがあり、五稜郭はその時見学したので今回は行かないことにする。函館山の夜景も前回見たが折角なので、これはもう一度見ることにして函館山行きの交通機関を調べると、駅のすぐ前からバスが出ていることがわかり、それに乗っていくことにする。ロープウエイもあるようだが今回は往復バスにする。函館山は334m程の山だが夜景がきれいで香港、ナポリと並んで世界三大夜景の一つとして有名だ。バスは観光客で満員。窓から夜景が見えるたびに「うわぁ、きれい」という歓声が盛んにあがる。写真を撮ったが夜景を綺麗に撮るのは難しかった。でも折角撮影したので掲載させていただきます。
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 これで北海道の旅も全て終了し明日千歳から九州に帰る。
終わってみるとあっけないほど短かったように感じられる。

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