シングルおやじの気ままな一人旅

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　晴れ

　今日は距離が短く、しかも宿のチエックインが１５時からということで、朝ゆっくりして８時３０分に出発する。もう少し先まで行きたいのだが、適当なところに宿がないのだ。佐賀温泉と今日の宿であるネストウエストガーデン土佐が同じグループになっていて、荷物を運んでくれたので、これは助かった。
　ただ、朝これだけゆっくり出発すると、よし！今日もやるぞ！という気勢が削がれてしまうから妙だ。
　今朝も寒く、田んぼには霜が降っていて、地面が白くなっている。

　ただ天気はいいので、昼間は暖かく、昨日と比べると風も弱かったので、歩きやすい一日だった。
　今日もひたすら５６号線を進む。日曜日なのに車の通行量が多い。
　右手に伊予喜駅があるところから５６号線から左へ分岐して進むと、途端に車が少なくなる。この辺りはこの地特有の道案内が立っている。

　こういうケースをたまに見かけるが、夫々の地域の人たちが、こうして負担を分担し合うのはいい方法だと思う。これらの道案内が歩くに際して、とてもありがたい存在になっているが、ただ、形あるものは必ず劣化するので、メンテナンスが重要なポイントになる。それを皆さんで分担できればいいなと、利用させていただく側の人間として勝手に思う。
　熊井トンネルを通る。明治３８年に完成したもので、長さが９０ｍあり、「トンネルというものは、入り口は大きいが、出口は小さいものじゃのう」と言った人があるという。レンガは佐賀港から一個一銭の運び賃で小学生などが１～２個ずつ運び、熊井側入り口の石張りは２人の職人が左右に分かれて腕前を競ったという。昭和１４年までは県道として利用されていたが、現在はわずかに土地の人が利用するのみという。ここには照明がない。

　その先でいったん５６号線に合流するが、ここに「蓑（水）神坂」の昔話が書かれた看板が立っている。昔この地に山伏がやってきて、物乞いをしたが、皆貧しくて施しができなかった。このことに腹を立てた山伏はほら貝を吹いて嵐を巻き起こした。これに気付いたこの地で生活をしていた別の山伏が、これに対抗してほら貝を吹いて、この嵐を収めたことから、悪い山伏は改心して西国へ旅立ったという。悪者の山伏がほら貝を吹いたこの場所は現在、水神坂と呼ばれているという。
　そのすぐ先から５６号線から分岐して左へ進むが、ここには珍しくシールがなかった。ごくたまにこういうことがあるので、地図は常に携行しておかなければいけないのだ。
　右手に土佐佐賀の駅のあるところから、集落の中を通り、その先の横浜トンネルを５６号線が抜けたところで、５６号線に合流するが、ここは眺めがいいので休憩する。今日はユックリだ。一日に歩く距離が長いのもしんどいが、短いのもペースを作りづらい。今日は天気がいいので海がきれいだ。その先に佐賀公園があり、ここからの眺めもいい。

　その先に民宿白浜があり、食堂になっているので、まだ昼前だったが、ここで昼食にする。
　大体予定したペースだ。
　その先で、井の岬トンネル、伊田トンネルを抜けるが、どちらも入り口に「歩行者注意」の大きな看板が立っている。歩き遍路が多いからだろうと想像する。
　伊田トンネルを出た右手に「観音寺」という小さなお堂のようなお寺があるが、ここの境内には文政１３年（１８３０）の石碑とその横に文化４年（１８０７）と読むことができる石仏をはじめとした７基の石仏、五輪塔がある。

　今日はほとんど５６号線を歩き続けているので、単調なのだが、たまにこのような古いものを見つけることができると楽しくなる。
　このあたりもそうだが、海に近い場所には必ずと言っていいほど避難場所への指示や、海抜何メートルといった数字が書かれた標識がある。南海トラフ巨大地震への対策の一環なのだろう。自然を制御することはできないので、万が一、災害が起きたときに、その被害を最小限にすべく、準備を行うのは極めて大切なことだと思う。しかし、あれだけ災害の発生確率が高いと繰り返し報道されると、海の近くに住んでおられる方々は不安だろう。
　左手に「尊良親王上陸地」の石碑が建っている。　親王は後醍醐天皇の皇子で、鎌倉幕府と戦って敗れ、この地に流された。しかし翌年には脱出して京都に帰還、その後足利尊氏によって滅ぼされたのだ。

　その先、右手に「大師堂」があり、その横に年不詳ながら、古い石仏が６基ならんでいる。

　道の駅おおがたの駐車場の奥に「ネスト」の看板が立っており、それにしたがって進む。この道が海際の遍路道だ。
　１４時３９分に今日の宿であるネストウエストガーデン土佐に到着する。ここも気持ちのいいホテルで、チエックインの時間前だったが、快く受け付けてくれた。

　本日の歩行時間　　　　６時間９分。
　本日の歩数＆距離　　３５２８８歩、２６km。