四国遍路・同行三人を歩く 

2006年06月04日(日) ~2006年07月18日(火)
総歩数:1568725歩 総距離:1020km

2006年06月21日(水)

汐浜荘~福屋旅館

                  歩数:29817歩 移動距離:19.4km

 6時45分出発。ご主人に宿代を支払い玄関を出るとおばさんが待っていた。坂を上がったところまで見送ってくれる。しばらく歩いて曲がり角に来たので振り返ると、まだ見送ってくれており手を振ってくれる。こちらも負けずに大きく手を振る。こんなにいつまでも見送っていただいたのははじめての経験。これが心配りというものだろう。中々できることではないと思う。よし、今日も一日がんばるぞ!という気持ちになる。

 今日歩く道は昨日教えてもらった昔の遍路道だ。海岸沿いにくねくねと曲がりくねった県道23号線を歩く。海上を連絡船が行く。子供達が通学に利用しているようだ。陸上をいくと曲がりくねった道も海の中では直線で行くことができ、時間的にも随分短縮できそうだ。船に乗って通学。都会では考えられない手段だ。今彼らにとっては日常的なことが、将来きっといい思い出になるだろう。

 今日は夏至。黙々と歩くがとにかく暑い。歩きを再開して今日で3日目、その間快晴続きで暑さが厳しい。、それに昨夜は前日寝すぎた反動からかなかなか眠れず睡眠時間3時間程か。睡眠不足もあって今日はバテ気味。身体がきつい。今日は遍路道といっても車道。照り返しもきついので身体の消耗も激しい。
 途中一昨日と同じように自宅の庭に遍路のための休憩所を建ててくれている家があったためそこで休憩。ようやく日陰で休むことができた。今日は家の人も出てこなかったため、しばらく横になる。暑い中、本当にありがたかった。
ss016
 12時15分須崎市観音寺で昼食。室内は冷房がよく効いていてほっとするが、汗でびっしょり濡れたシャツが気持ち悪い。シャツが肌に触らぬように突っ張った姿勢で食べる。食事が終わった後、地図を見ていると店の女の子が道順を丁寧に教えてくれる。感謝。12時50分食事を終えて外に出るとまた猛烈な暑さが襲ってくる。さすがにうんざりする。しばらく歩いていると、道端に止まっていた軽自動車の中からおじいさんに声をかけられる。「乗っていかないか」。今日は午前中にも別の夫婦の方から同じように声をかけられたのだが、歩くことにこだわっているため丁重にお断りをしたばかり。この時も一応お断りをしたのだが、暑さに辟易していたこともあっておそらくトーンの低いものであったのだろう。「まぁいいじゃないか、乗りなさいよ」と重ねて言われるともろくも崩されてしまった。おじいさんの飄々とした態度に魅力を感じたことも一つの理由だった。
「それじゃ、3kmだけお願いします。」
「なんで3kmなんだ」
「今日は33km歩く予定なので30kmをオーバーした分の3kmだけ乗せてください。」
 車の中でこんな会話を交わしているうちに、遍路姿の青年が前方の道路を歩いているのが見えた。おじいさんが彼にも声をかけると「ありがとうございます」と言って乗り込んできた。山口県小野田に住んでいるそうで28歳と若い。彼は折角四国を回るのであれば八十八箇所のお寺だけではなく、色々な所を見て回るつもりだといい、そのため歩きにはこだわらず、声をかけられたら車にも乗せてもらうようにしているそうだ。
しばらく走ったところで、
「もうこのあたりで結構です。後は歩きますから」と言うと、
「四国は1200kmもあるんだぞ。たった5、6km車に乗ったってどうということはないよ」
「もっと乗っていけばいい」
と言われる。
「なるほど、そうか」
 確かにそのとおりだな、とこの時は納得する。素直な私なのだが、これが後で大きな後悔の元になるのである。

 おじいさんは77歳と言っていたが、なかなか元気。遍路している人をよく車に乗せているようだった。一昨日34番種間寺で会った歩き遍路の若者が何故か気になっていて、こうして探していると言われていた。そんなこんなを話しているうちに車はあっという間に今日泊まる予定の久礼の町まで来てしまった。おじいさんにところてんまでご馳走になり、旅館の前まで送ってもらって別れる。歩きと比べて車は早い!などと感心をしている場合ではなかったのだと後になって思う。この日はそれほど思わなかったのだが、全工程を通して車に乗ったのはこの区間のみ。後から考えると痛恨の極みであった。この区間さえ車に乗らなければ全工程歩き通したことになるのに全くもって残念だった。つい暑さに負けた己の弱さを反省!

 車に乗ったため、途中でところてんを食べたりして時間をつぶしても、旅館には13時45分に着く。あまりに早い到着に旅館のおかみはまだ準備ができていないと少々迷惑顔。それじゃ準備ができるまでここで休ませていただけますかというと、「ここは玄関でしょ、そんなことできるわけないでしょ」と言われ、「まだ部屋の割り振りもできていないのよね」と重ねて言われる。後でわかったことだが、この日の泊り客は3名。遍路は私一人でほかの二人は少なくとも前日以前からの泊り客のようだった。やがていかにも仕方がないといった感じで二階の一部屋に案内される。その後もこの女性は全てにおいてこんな調子。あまりいい気はしなかった。

旅の地図

記録

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かっちゃん
歩人
かっちゃん