四国遍路・同行三人を歩く 

2006年06月04日(日) ~2006年07月18日(火)
総歩数:1568725歩 総距離:1020km

2006年07月05日(水)

民宿でんこ~44番大宝寺~45番岩屋寺~民宿でんこ

                  歩数:39755歩 移動距離:25.8km

 7時50分出発。今日の距離は25km程と思われるためスタート時から気分的に楽である。昨夜は大分雨が降っていたようだが出発時には止んでおり、荷物も今日必要な分だけを持つことでかなり軽いし上々の滑り出し。30分ほどで大宝寺に到着する。

 8時18分大宝寺着。でんこから3477歩。
 ここは43番から62kmほどと距離があるためか、または麓の久万高原町に民宿が多い関係からか理由は定かではないが、朝の境内に歩き遍路の姿が多い。44番で3名の方と会う。そのうちの一人は外人だった。「おはようございます」と声をかけると「おはようございます」という日本語が返ってきた。この外人とはその後何度も合うことになり今回の旅の中で最も多く会った人になる。
 44番を8時43分に出発。45番へ向かう途中で又一人の遍路の方と会う。足が痛いのだろう、少し引きずっている。挨拶を交わし、「足は大丈夫ですか」と聞くと、「ええ何とか、自分のペースでゆっくり歩いています。」と言われていた。

 9時30分ごろになって雨が降り出す。丁度下畑野川公民館があったので、その玄関先に腰を下ろして一休みすると同時に雨具を取り出す。今日は連泊するのでかなりの荷物を宿に置いてきたが雨具は必携品だ。休憩を終え歩き出して間もなく猛烈な雨になる。ものすごい降りだ。雨粒は激しく地面をたたき、飛び跳ねる。山から流れ出ている清水は日ごろの清らかさを忘れて濁流となって道路にまで流れ落ちてくる。その勢いはすさまじい。ズボンは瞬く間に濡れ、靴の中も水浸し。歩くたびにグチャ、グチャと音がする。もうこうなったらいくら濡れても一緒だ。あっさり裸になって歩こうかと思うが、いくら山の中とはいえ一応県道である。車も時々は通るので裸はちょっとまずいかな?だったら海水パンツをはけばいい。次回来るときは海水パンツを持ってきて、雨が降るときはそれで歩けばいい。などと実にくだらないことを考えながら歩く。
 私の「歩く禅」とは所詮この程度のものなのだ。

 土砂降りの雨の中、やがて岩屋寺の入り口に着く。急な坂道があり大きな看板が置かれている。そこには
  「まだまだこれから、岩屋の坂と人生は」
と書かれている。これからかなりの坂道なのだなと思うと同時に、それを人生に引っ掛けたところがうまいことを言うなぁと感心させられる。実際登ってみるとかなりの坂道そして階段だ。山門から本堂までの階段だけでも266段あるそうだ。しかしいくら厳しい坂道だろうと、いくら高い階段だろうと、一歩一歩、歩を進めていけばいつかは頂上にたどり着く。私はこういう感じの努力が好きだ。人生も同様でとりあえず仕事は引退したが、まだまだこれからだ。新しい未来に向かって一歩ずつ歩き続けていかなければと思う。入り口から20分近くかかってようやく本堂に着く。

 11時35分本堂着。44番から2時間52分、17783歩。
 ここの本堂は巨大な岩壁の前に建っている。本堂の上にある岩が大きくせり出しているので、今にものしかかってきそうな感じがする。本堂の上に岩石のくぼみがあり、そのくぼみまで梯子がかかっている。登ってみたいと思ったが、とにかくすごい雨である。断念せざるを得なかった。本堂から大師堂へ、そして納経所へ移動するたびにポンチョを着て移動しなければならず、我ながらモタモタしているなと感じた。それほどに激しい雨だった。
ここは大師堂の奥に逼割禅定という行場があるそうだが、とても行くことができる天候ではなかった。
ss028

 12時10分出発。坂を下りたところで大宝寺で会った外人と会う。雨の中、今来た道を引き返す。折り返しなので来る時に出会った二人の方と会う。「よく降りますね」。「いやぁ、かなわんですなぁ」という言葉を交わす。途中国民宿舎古岩屋荘があったのでここで昼食。ここは立派だったし、食堂の女性の応対も気持ちよかった。山菜定食を食べる。ここを出た頃から雨は小降りになり、降ったり止んだりの状態となる。しばらく歩くと休憩所があり、そこに入ると一人の若者がいた。「あっ、以前お会いしましたね。」と言う。こちらも会った記憶がある。6月21日にこの旅の間で唯一車に乗せていただいたとき同乗してきたあの青年だった。あの後私は三日間小倉に帰ってきたわけで、それがここで一緒になるということは、遍路のついでに色々なところを見てみたいといっていたことを実行して随分あちこち回ったようだ。彼は今日農祖峠を越えてきたそうで、雨の中での峠越えは道が川のようになって大変だったと言っていた。私は昨日のうちに越えていてよかったと思った。彼は午後5時までに45番に着きたいと言って急いで出発した。

 15時20分でんこに帰着。やはり25kmだと随分楽である。足は昨日は赤く内出血していたが、今日は随分回復している。4万歩程度であればいいいのかな?薬は飲まないことにする。

 世間は北朝鮮のテポドン発射で騒然としているようだが、遍路している私にとってはまるで異次元の世界の話のようだ。完璧に世事に疎くなっている。

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