四国遍路・同行三人を歩く 

2006年06月04日(日) ~2006年07月18日(火)
総歩数:1568725歩 総距離:1020km

2006年06月04日(日)

小倉~19番立江寺~金子や

                 歩数:15130歩 移動距離:9.8km

 久しぶりの遍路ということで心が高ぶっているのか、朝五時には目が覚める。雨戸を開けると薄曇りの空。歩くには格好の天気と思われる。四国の天気も同様であることを祈る。二階の窓から庭を見るとアジサイの花がいくつか咲いている。いつもと変わらない風景なのに何故か今日は新鮮に写る。
 いつものように仏壇の花の水をかえる。当分の間家を留守にするので、花は当然枯れるであろうが、一日でも長く水を吸うことができるようにと満々と水を満たす。
 9時02分小倉駅を出発。13時34分立江駅に着く。
 12年前、この駅から妻と二人で帰途に着いたのだ。「立江寺は駅から近いので次回来る時は便利でいいね」と話をしたことを思い出す。お互い、次も二人で来ると何の疑いもなく思い込んでいた。それなのに今日は一人で来た。もう二度と二人で来ることはない。
 立江寺に入る。当時ここで参拝者に撮っていただいた二人で写った写真を持ってきている。その写真を出して本堂で般若心経を唱える。こみ上げてくるものを抑えることができない。ここでゆっくりして二人でお参りをした当時のことを偲ぼうと思っていたのだが、その場にいること自体耐えられなくなり、早々にお寺を後にする。
 これまではいかにもお遍路さんと見られるような格好はなんとなく恥ずかしかったので、セーターとGパンで参拝をしたが、今回は白衣を着、菅笠をかぶっていこうと決めていた。事前にネットでお寺のすぐ近くに井上商店というお店があって、これらの用品を売っていることを調べていたのでそこを訪問し購入。早速その場で白衣に着替え、菅笠をかぶってみたが、笠の紐が短くて結べない。「大きい顔やわぁ」と奥さん。もう一本紐を出してきて二本をつなぎようやく結ぶことができた。これまで大きな顔をして社会を渡ってきたので、物理的にも顔が大きくなったのかな?人間謙虚でなければと自らに言い聞かせる。
折角なので写真を撮っていただくようにお願いをすると、奥さんが一緒に写ってくれた。シャッターは娘さんと思しき方が押してくれた。ハイ、チーズ!
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 ここでお二人と会話をかわしているうちに重く澱んでいた心がだんだん解きほぐされていくのが自分でもわかった。短い時間ではあったがとても有難かった。
 立江寺を出て少し歩いたところで、前から来た車が止まり、窓が開いて「これをどうぞ」と言って小さな祝儀袋が差し出された。表に「お接待させていただきます」と書かれ、中に百円硬貨が二枚入っていた。中年の女性だったが、いつもこうして準備をして持ち歩かれているのだろう。これまで三回来たが、お接待されたのはこれが初めての経験。一目で遍路とわかる姿の効果(?)なのだろうか。心の準備ができていなかったので、急には言葉が出ず、「あ、はい、ありがとうございます」と言っているうちに車は通り過ぎてしまった。これがお接待というものなのか。実際に経験してほのぼのと心温まる思いを感じた。
 14時04分立江寺を出発.。
 立江寺から金子やまで10Km。これぐらいの距離ならどうということはないと思っていたが、いざ歩き出してみると、荷物がやたら重い。日ごろは何も持たずに歩くため一時間に5Kmは楽に歩けるのだが、今日は10Kmを2時間半かかってしまった。一時間に4Kmのペース。今後の計画を見直さなければなるまい。
 15時40分勝浦川に出る。道路標識の温度計が23度を示していた。暑いことは暑いのだが、それでも苦しいほどではない。有難いことだ。
 16時30分金子やに到着。
 宿ではさいたまから来て車で回っているという四人連れと千葉と関西宝塚から来たという一人旅のお二人に会う。このお二人とは翌日の宿も一緒になる。
 遍路宿では夕食は大体6時から6時半だ。食事を済ますと後は何もすることがない。部屋に戻り早々に床に就く。8時過ぎには隣からいとも厳粛なるいびきが聞こえてくる。遍路宿の夜は早い。

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