四国遍路・同行三人を歩く 

2006年06月04日(日) ~2006年07月18日(火)
総歩数:1568725歩 総距離:1020km

2006年06月22日(木)

福屋旅館~37番岩本寺~佐賀温泉

                   歩数:49313歩 移動距離:32km

 朝食は7時からということでこれを済まし、7時25分出発。今日は雨になるとの予報が出ていたが薄日が差している。雨の中を歩くというのはイヤだと思っていたが、照りつける太陽の下を歩くよりもはるかにいいと思う。あの暑さには本当に参ってしまう。この時期歩くのに一番いいのは今日のような薄曇りの日だ。

 宿は久礼の中心街にあるようだったが、歩き始めて30分もすると人家もまばらになり山の中へ。きれいに舗装されてはいるが車も人も通らない。それでも山道のため、いたるところに木陰があり、歩くにはとても楽である。しばらく行くと上から自転車に乗った高校生と思われる女の子が下ってくる。いつものように「おはよう」と声をかけると「おはようございます」と返事が返ってくる。ただ、こんな山の中である。どこに住んでいるのだろうと思いながら又しばらく歩くと、一つ山を越えた谷間に十数軒の集落があった。ここに住んでいる女の子だったのだと納得する。集落を抜けたところで出発から丁度一時間が経過したので休憩をとる。

 人家が途切れると完全な山道。舗装もされていない遍路道になる。すぐ横を大坂谷川という清流が流れる。本当にきれいな流れだ。いつものように誰もいない。こうなると木の枝からぶら下がっている毛虫や道を這うトカゲにもなんとなくいとおしさを感じる。ついには道を横切って寝ている大きな蛇にも出会う。すぐ横を通っても知らん顔をしている。ヨシヨシという感じだ。

 視界が開けたときに上を見上げると、かなり高いところに国道56号線が走っている。七子峠だ。あれに合流するとなるとどこかで相当な登りがくるだろうと思っていると、予想どおりの急坂が立ちはだかった。「七子峠へ1.0km」と書かれた標識が立てられている。
ss017
 この坂をいつものように掛け声をかけながら登る。相当にきつい。汗が流れ落ちてくる。遍路道は厳しいところが多いが、以前は全工程がこんな道ばかりだったのだと思うとその苦労が偲ばれる。遍路協会の地図では、この道には降雨の際は滝の流水で通行不能の場合があると書かれていたし、この場所のことだろうなと思うところがあったが、雨が降っていなかったこともあり特に問題なく歩くことができた。

 11時30分「ゆういんぐしまんと」で昼食。ここでもうな丼とうどんのセット。四万十川のうなぎかなと思って料理を持ってきた女の人に聞いたが返事をしてもらえなかった。たぶん四万十川のうなぎではなくて、どこかで養殖されたものなのだろう。ちょっとがっかり。
 13時ころから雨が降り出す。久しぶりの雨だ。ポンチョを取り出して着る。これは着脱も簡単で中々便利なのだが、身体が蒸れるのが欠点。合羽で雨を通さない仕組みになっているので仕方がないが、しばらく着ていると汗びっしょりになって雨に濡れた状態とあまり変わらないような感じになる。あまり気持ちのいいものではない。

 13時30分岩本寺に到着。福屋から6時間5分、30197歩。

 岩本寺では雨の中地元のテレビ局が参拝をしている人を撮影していた。私が参拝をしている時も横のほうから撮影をしている雰囲気が伝わってきたが、そ知らぬ顔をして参拝を済ませる。
イエーイ!といってVサイン、なんて態度はとりませんでしたので念のため書き添えておきます。

 今日も終日一人旅。市野瀬遍路道の出口付近でおばあさんが草取りをしていた。横を通る時に「こんちは」と声をかけると「うわ!びっくりしたぁ。」私が近づいていることに全く気がつかなかったようだ。二人で大笑いする。遍路道を抜けたところで56号線に出る。大体こういう場合は進む方向を示した遍路のための標識があるのだがここにはない。逆打ちをしている人はここが入り口になるのでわからないだろうななどと思いながら、なんとなく上り坂になっている左側に曲がってしまう。これは後でもあったことだが、私の場合、常に坂を上るという潜在意識があるようで道が分かれていて上り坂と下り坂がある場合、つい何も考えず上り坂をいくという傾向があるようだ。
 しばらく歩いて行くがなんとなく違和感がある。地図を改めてよく見てみるとどうも反対方向に歩いているようだと気がついた。それで元に戻ってくると、先ほどのおばあさんがまだ草刈をしている。こちらから大きな声で「佐賀温泉に行くにはこちらのほうですかぁ~」と下り坂のほうを指差しながら聞くと、「そうですよぉ~」とこれも大きな声で返してくれた。こんなことなら先ほど話をしたときに聞けばよかったと思ったが後の祭りである。

 この間違いで労力と時間を無駄にしたという思いからガックリきてくたくたになって佐賀温泉に到着する。
 この温泉は田舎の風景の中にポツンと建っており、利用者は近くに住んでいる人たちが多いそうだ。ここの従業員の人たちは親切で感じがとてもよかった。泊り客は私と仕事で来られているという方の二人だけだった。疲れが溜まっているので夜マッサージをお願いすると、用事が入っていて夜9時以降でないと出来ないといわれたが、何時でもかまいませんのでぜひお願いしますと申し込む。来られたのはマッサージ師ではなく整体師だったがやはりとても気持ちがよかった。

 今日は予報では午後から雨だったが、結局13時ごろから一時間程降っただけで、後は曇り空。そのため気温もあまり上がらず歩きやすかった。足もひどくはなっていなかったが、念のため薬を飲む。最後の道を間違ったことさえなければとてもいい一日だった。

旅の地図

記録

プロフィール

かっちゃん
歩人
かっちゃん