四国遍路・同行三人を歩く 

2006年06月04日(日) ~2006年07月18日(火)
総歩数:1568725歩 総距離:1020km

2006年07月12日(水)

蔦廼屋~65番三角寺~民宿岡田

              
                  歩数:42427歩 移動距離:27.6km

 7時15分出発。今日の空は薄曇。蒸し暑いが昨日のように照りつけられるよりは楽である。昨日と同様に旧街道を歩く。右手に松山自動車道、その向こうは山。左手に国道11号線とJR予讃線、その向こうは海。山と海岸に挟まれた決して広くない平地に4本の交通網が走っている。

 宿を出て間もなく通学途中の学生に数多く会う。見ていると面白い。向こうから積極的に挨拶をしてくる子。こういう子は例外なく元気がいいし、こちらも気持ちがいいが、残念ながら少数だ。こちらから声を掛けると挨拶を返してくれる子。これが比率的に一番多い。声を掛けても返事をしない子の中でも二つのパターンがあり、思いがけないことのようになんとなくドギマギしているうちに、挨拶するタイミングを失ってしまうケースと全く反応のない子。性格、家庭環境、色々なことが影響しているのだろうが、挨拶一つとってみても面白い。

 全般的に四国の人は遍路者に対して非常に好意的である。今日も数多くの方々から「暑いね」「がんばってね」と声を掛けられる。ちょっとしたことなのだがとてもうれしい。それにお接待。昨日も色々と受けたが今日もまたお接待を受ける。
 宿を出ようとしておかみさんからこれでお茶でも飲んでくださいとお茶代のお接待。
 歩いているとかなり前方に女性が立っておられたが、そのうち家に入られた。私がその家の前に差し掛かったところに出てこられて「これ、どこか手を洗えるところで食べてください」とビニール袋に入れた桃を渡される。思いもよらなかったのでとてもうれしく、有難くいただいてしばらく歩いた後食べた。おいしかった。

 12時02分65番三角寺到着。蔦廼屋から4時間47分、26857歩、64番前神寺から69970歩。
 三角寺は826mの平石山の中腹に位置しており、お寺は480mのところにある。ここもかなりの高さであり、登りはやはりきつい。地図を見るとお寺のすぐ下に長野商店という名前が書かれている。例のごとく昼食のことである。商店とわざわざ書かれているのだから何か食べ物があるだろうと考えたのが甘かった。食べ物は全くなし。山を登るときは必ず何らかの非常食を持参すべしという鉄則をないがしろにした罰で、その後空腹を抱えて歩かねばならないことになる。12時30分参拝を終え、山を下って約6km程行くと椿堂がある。ここの下に店があり、パンがあったのでこれを買い昼食とした。いつも食べることばかり書いて恐縮だが、「人はパンのみで生きるにあらず」とはいうものの、やはり食べなきゃ元気が出ない。これもまた絶対の真理である。

 パンを食べてお腹が落ち着いたところでまた歩き始める。しばらく行くと前をおばさんが歩いている。「こんにちは」「暑いですね」と挨拶をして追い越して歩く。七田のバス停まで来たところで石川酒店という看板がかかっているが営業をしていない店があり、その横に木のベンチが置いてあったので一休みしていると、先ほどのおばさんがやってきて「あなた歩くの早いわねぇ。冷たいお茶でも飲みますか」と言われる。おばさんは現在家を建てかえていて、それが完成するまでこの空き店舗を仮住まいしているそうだ。お茶を頂いているともう一人歩き遍路の方が来られたので一緒に休んでいると、おばさんが今度はトマトを持ってきてくれた。「汗をかくから塩分を補充しなければね」と塩がたっぷりかかっている。有難い心配りである。

 ここから少し歩くと境目トンネルに入る。855mのこのトンネル、入るときは愛媛県、出たときは徳島県。県境にあるので境目というトンネルの名前がついたのだろう。徳島県と聞いて旅の終わりがようやく見えてきたという感覚になった。

 民宿岡田まであと少しというところで、お遍路向け休憩所があり、そこで一人の女性が野宿の準備をしていた。64歳ということだったが、元気なおばさんでしばらく休憩所に入って話をする。少し遅れて途中で一緒に休憩をした男性もやってきた。その方も岡田に泊まるという。それを聞いた彼女、岡田さんの庭で野宿させてもらえないか聞いてみるということで一緒に岡田にやってくる。

 16時40分民宿岡田に到着。4時間10分、15570歩、10.1km。途中長い休憩を二度取ったので、すっかり時間がかかってしまった。
 ここのご主人はどのホームページを見ても好評を得られているが、実際お会いしてみるとやはりとてもいい方だった。体調を悪くされたということもあって、息子さん夫婦が今年の5月から帰ってこられて一緒にやっておられるそうで、息子さんとは会えなかったが奥さんはとても感じのいい方だった。博多に住んでおられたそうで、丁度博多山笠のことをニュースでやっているのをご覧になって懐かしそうにされていた。

 股間が何故かヒリヒリする。インキンタムシができたのかと思ったがどうもアセモのようだ。毎日風呂に入っているのにアセモができるなんて、と驚く。それほど昼間汗をかいているということなのだろうが、学生時代のクラブの練習でインキンタムシに悩まされたことを思い出してしまった。

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