四国遍路・同行三人を歩く 

2006年06月04日(日) ~2006年07月18日(火)
総歩数:1568725歩 総距離:1020km

2006年06月08日(木)

遊遊NASA~民宿徳増

                  歩数:49096歩 移動距離:31.9km
 朝7時に出発。今日徳島県を抜けて高知県に入る。高知は修行の道場といわれ、お寺とお寺の距離が長い。
 まだまだ先は長いが、それでも一つの県が終わるというのは一区切りついてそれなりにうれしい。
 8時55分、徳島県と高知県の県境にある水床トンネルをぬける。さてこれから高知県だと思っていると、トンネルを出てものの100mも行かないうちにパラパラと雨が降ってきた。一旦トンネルの中に戻って様子を伺っていると、瞬く間にものすごい雨になった。できるだけ後には戻りたくないので出口近くの濡れないぎりぎりのところにいたのだが、雨がどんどん降り込んでくる。出口付近には見る間に水溜りができた。これは雨具を出すしかないと思い、バックから取り出そうとした時に猛スピードのトラックがやってきて盛大に水しぶきを上げて通り過ぎていった。おかげで頭から水をかぶってしまった。「ちきしょう!○○○便め。もう荷物の運送は頼まないからな」と思いながら急いで雨具を出していると、またもトラックが。この二台のトラックのおかげで雨具を身に着ける前に全身ずぶぬれになってしまった。雨具を着、しばらく様子を伺っていたが、ものすごい雨はいつ止むのか見当もつかない。そのままそこにじっとしているわけにもいかないので土砂降りの中を歩き始める。しばらくいくと今度は軽自動車がスピードを全く落とさず、すぐ横を通り過ぎた。その水しぶきを顔面にもろに受ける。もう少し歩行者のことを考えて運転してくれ!と怒鳴りたくなる。靴に防水スプレーをかけたが、もうこうなると何の効果もない。すぐに靴の中はビチャビチャになる。あまり激しいので道筋にあったタクシー会社の車庫で雨宿りをさせていただく。会社の方が出てこられて「予報では夕方から雨だったのにね、雨の中を歩くのは大変だね」などとしばらく話をしていると次第に小降りになったので再び歩き始める。約一時間降り続いた雨はその後止んだが、熱帯地方のスコールを思わせる雨だった。
 東洋町を過ぎ室戸市に入る頃から海岸線に沿った道路になる。左側は太平洋の大パノラマ、右側は山、その間の海岸線を一本の道路が延々と続いているのみである。人家は全くなく走る車の数もめっきり少なくなる。当然歩いている人は一人もいない。とにかく単調。孤独である。でも何故か気持ちがいい。心が軽いのである。
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 四国遍路は歩く禅といわれている。室戸行はまさにその真骨頂なのではないか。見識をもたれている方であればこの環境を活用して自問自答を繰り返し、それなりの答えを見出すのではないかと思われるが、浅学菲才の私にはそんな芸当は望むべくもない。色々な想いが浮かんでは消え、消えては浮かぶ。でも集中して考えているわけではないので、結局何も考えていないと同じなのである。ただ、こうした環境は自分にとってとても気持ちがいい。これまでビジネスの場では自分のことより全体を優先し、常に全体に気を配ってきた。日常的に色々な問題が発生するが、組織が大きくなるにつれて、自分の力だけでは解決できない問題が多くなってきた。そんなこんなで頭を悩めることが多かったが、この室戸行では自分のことだけを考えておけばいい。ただただ歩き続ければいいというだけのことなのだ。気持ちの上でこんな楽なことはない。とてもいい経験をし、四国の醍醐味を満喫させていただいたと思っている。四国遍路は素晴らしい!
 15時20分みかど食堂に入る。遍路のガイドブックにも記入されているお店。明るくかわいいおかみさんがおられた。話をしていると同じ歳ということがわかる。お互いに「あなたは若いわねぇ」と相手を誉めあう。美しい友情だ。丁度日本経済新聞の編集委員をされている方が遍路旅をされており、その様子を連載で記事に書かれている。その内容からそろそろこの近くに来るのではないかと思って心待ちにしているとのこと。このおかみさん、川柳や俳句を作られていて、最新作の短冊がいくつか飾られていた。色々なお遍路さんが尋ねてこられているようで、おかみさんの雰囲気からそれもうなづける。お店で写真を撮り、約一時間話し込む。楽しいひと時だった。
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 17時丁度に民宿徳増に投宿。ここで再びM君にぱったり会う。野宿しようと思っていたが、雨が降るので急遽徳増に宿泊することにしたとのこと。徳増のおばあちゃん、おくさん、ともにとても感じのいい方で暖かく接してくれた。

 足の赤い斑点が広がってきている。痛みもかゆみもないのだがなんとなく気持ちが悪い。

 本日、四国地方入梅宣言。

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