四国遍路・同行三人を歩く 

2006年06月04日(日) ~2006年07月18日(火)
総歩数:1568725歩 総距離:1020km

2006年07月10日(月)

ターミナルホテル東予~62番宝寿寺~ビジネス旅館小松~60番横峰寺~61番香園寺~ビジネス旅館小松

                  歩数:48043歩 移動距離:31.2km

 7時15分出発。朝食は宿で食べることに決めているが、ビジネスホテルの朝食時間は7時からがほとんど。そのためどうしても出発が遅めになる。今日はまず今夜泊まる宿に荷物を置き、その後で難所の横峰寺に挑戦することにする。地図を見ると62番をまず打って、その後で近くにある旅館に行くコースが最もいいようだ。
 8時28分62番宝寿寺に到着。1時間13分、7550歩、4.9km。
 JRの伊予小松駅のすぐ近くにある宝寿寺はこじんまりとしたお寺だが、資料によると昔は今の伊予小松駅のところに建っていたそうで、駅ができるので現在地へ移転したということだ。横峰寺へ行く道が何本かあるので、ここの納経所でそれぞれの道の情報を聞いたが、車でしか行ったことがないので車道のことしかわからない、最近は車道を行かれる人が多いですよという回答だった。ここを8時45分に出発。

 ビジネス旅館小松は62番から646歩、すぐ近くだ。ここで60番へ行く手書きされた地図をもらう。この道が一番早いという。直線で登る道なのだろう。近くのコンビニで昼食を買いスタートする。途中砕石所があるため、そこまではダンプカーがひっきりなしに通っていたが、そこを過ぎると後は全く車が通らない道になる。もちろん人影も全くない。ところどころに台風16号による被害と思われるがけ崩れの場所がある。地図に通行禁止と書かれていた横道も道が完全に崩壊していたのですぐにわかった。道は舗装されており一本道なのでとてもわかりやすい。順調に登っていき、舗装が切れているところまで一気に行くことができた。ここから少し坂を登ると完全な山道に入る。ここで地図を見間違えてしまった。左へ行かなければ行けなかったのだが、右に曲がってしまったのだ。ここまでずっと坂を登ってきたのでこれからも登るものだと無意識に思い込んでいた。山道に入ったところは標識がなく右に行けば登り坂、左は平坦な道だったので、何も考えず右に曲がってしまったのだ。佐賀温泉へ行くときに間違ったことと同じ間違いを犯したのだ。思い込みの怖さである。ここから約30分間ほど山の中をうろつくことになる。だれも通らない。自分がどこにいるのかもわからない。携帯を見ると圏外。展望台と書かれた場所があったので誰かいるかもしれない、人はいなくてもせめて見晴らすことができる場所であればと思っていってみたが、草がぼうぼうに生えており誰もいない。このときはさすがにちょっとまずいぞと思った。しばらくウロウロしていたが、ある場所で携帯がつながった。それで小松旅館に電話をしながら更にウロウロしてようやく60番への道がわかった。わかってしまうとなんということはないのだが、一時は一度下まで降りなければだめかな?と思ったほどだった。
 ようやく道がわかったのでその道を進む。山道に入って60番まで4.6kmの距離だ。最初のうちは比較的平坦な道が続くし、木陰の中を歩くのでスイスイ歩くことができた。ここでだれか前方から歩いてくる。よく見るとあの外人だ。「オー」とお互い大きな声を発し握手を交わす。彼は別の遍路道を通って栄屋旅館に泊まり、先ほど横峰寺を打って下ってきたのだという。三回目の出会いなので立ち話ながら色々と話をする。彼はカナダ人で英語学校の教師をしていたそうだ。学校では英語の授業をやっているので自分自身日本語をなかなか覚えることができない。四国を歩くと皆が日本語で話しかけてくるのでいい勉強になりますといっていた。
「おいくつなのですか」と聞くとその意味がよくわからないようだったので「How old are you?」と言うとこれはわかったようで、(当たり前か・・・)いくつに見えるかと聞いてくる。Thirty.と答えると、Just!と言い、いつも20~25歳ぐらいにしか見られないと言っていた。
I am sixty。というと外人がよくやるしぐさ、大げさに両手を広げて、「オー!」
「元気ですね。」「強いですね。」「スゴイですね。」「若いですね。」と四連発した後、「四十歳ぐらいと思っていました。」と言う。
 これは間違いなく、彼が言ったとおりの言葉を正確に聞き取ってそのままここに載せています。念のため。
外人なのに、まだ若いのに、中高年を喜ばせる術を心得ているようだ。お互い写真を撮り合って分かれる。
ss033-11
 やがて道は厳しい登り坂になる。横峰寺は霊峰石鎚山の中腹にあると聞いていたので覚悟していたが、それにしても厳しい。坂が長く急だということと道も歩きにくい。崩れてきた土砂で道がほとんど遮断されているような場所もあった。倒れて枯れた木が道をさえぎり、歩ける場所は非常に狭くなっている。一歩間違えば斜面を滑り落ちるような危険を感じる。雨の日はかなり怖いだろうな、というかそんな日は歩かないほうが無難だろうと思う。台風の被害の大きさを実感させる光景であった。
ss033-21
 歩けども歩けども先が見えない。たった4.6kmなのにとてつもなく遠い距離に思われた。
 13時12分にクタクタになって横峰寺に到着。コンビニを出発したのが9時ごろだったため、4時間12分ほどかかっているが、歩数は21918歩しかいっていない。
 お寺で昼食をとっていると納経所のお坊さんが冷やしたお茶をお接待してくれた。とても感じのいいお坊さんで、帰りがけにお世話になりましたと声を掛けるとわざわざ奥から出てこられて挨拶をしていただいた。
 13時43分お寺を出発し、登ってきた道を下る。下りは早かった。2時間半で16時13分61番香寺に到着。15594歩。登りより6300歩も少ない。上りと下りでは歩幅がちがうことと、迷ってウロウロした歩数が含まれていることが大きな原因だ。
 61番香園寺は開設は古いようだが、建物は近代的な鉄筋コンクリート。これが札所なのかという感じを抱く。本堂に入ると黄金色に輝く巨大な本尊の大日如来、固定された椅子席は827席もあり宿泊施設も整っていて350人を収容できるそうだ。

 16時23分お寺を出発。できれば63番へ回りたいと思ったが時間的に間に合わないようなので旅館に戻る。16時45分着。
 宿では富山から来られたという56歳の方と千葉から来られた51歳の方と一緒になる。夕食を食べながら話が弾む。富山の方は明日横峰寺へ行かれるそうで、車道を通るか遍路道を登るか大分迷っておられた。千葉の方はきつくて歩けないのでバスを使って回っているといわれていた。この宿はオーナーが肉屋をやっているということで夕食はしゃぶしゃぶだった。これまで夕食は刺身がほとんどだったので久しぶりの肉はおいしかった。  宿の方も親切でとても気持ちよくすごすことができた。
 支払いをしようとするとお札が濡れて変色している。財布の中まで汗が浸み込んでいたのだ。いかに多くの汗をかいたのか改めて理解した。

旅の地図

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